脳の病気 脳卒中 頭痛 物忘れ 江別脳神経外科 江別脳神経外科外観

江別脳神経外科

住所:
〒069-0801
江別市中央町1-12
(三番通沿い)
TEL:
(011)391-3333
FAX:
(011)391-3311
休診日:
日曜・祝日

脳の病気

脳卒中について

1.日本における脳卒中の現状

 日本人の死亡原因のなかで、脳卒中によるものは、1981年に悪性新生物(癌)に、1985年に心臓病に追い抜かされ現在では3位となっています。しかし、患者さんの数は増加しており、現在脳卒中患者は150万人、医療費は約2億円が費やされ、20年後には患者数が300万人になると予想されています。日本の高齢化が進む中で、脳卒中を取り巻く医療の問題は非常に重くなっています。

日本における脳卒中のインパクト
●死亡原因の第3位
●死亡総数の2割弱を占める
●入院原因の第2位
●寝たきりの第1位(約4割を占める)
●医療費の1割弱を占める
●訪問看護利用者の4割を占める

2.脳卒中とはどんな病気

 脳卒中は、脳の血管が破れたり、詰まったりして起こる病気をすべて含み、いわば脳血管に異常が生じて起こる病気の総称です。血管が破れるタイプは頭蓋内出血と呼ばれ、脳内出血と、くも膜下出血があります。血管が詰まるタイプが脳梗塞であり、原因によってラクナ梗塞、アテローム血栓性梗塞、心原性脳塞栓症 に分けられます。

3.脳出血とは

 高血圧により、脳内の細い血管が破れて脳の中に出血を起したものです。症状は、出血の量にもよりますが、大量の脳出血では死亡する事もあります。
 近年、日本では高血圧の治療法が進歩して脳出血の発症は減少しています。
 図は、脳出血のCT画像です。白く見える部分が出血です(矢印)。

4.くも膜下出血とは

 脳の表面を走る動脈に出来たコブ (動脈瘤 )が破れて出血するものです。脳は外側から硬膜、くも膜,軟膜で覆われており、くも膜と軟膜のすき間はくも膜下腔と呼ばれています。このくも膜下腔に出血を起こした状態がくも膜下出血です。
 激しい突然の頭痛で発症し、出血が多いと意識も失ってしまいます。初回の出血で手遅れになる事が30-40%程度あり、突然死の大きな原因のひとつです。「昨日まではあんなに元気だったのに、突然亡くなられて」などと言う時にはこの病気が原因となっている事があります。
 くも膜下出血の原因である脳動脈瘤は、現在MRA検査(MRI検査で脳の血管を調べる検査方法)で見つけることができます。特に、親や兄弟など近親者にくも膜下出血の患者さんがいる場合には、必ず検査を受けるようおすすめします。

正常CTの写真   くも膜下出血のCTの写真
正常CT   くも膜下出血のCT
 
血管撮影による動脈瘤の診断写真   MRAによる動脈瘤の診断写真
血管撮影による動脈瘤の診断   MRAによる動脈瘤の診断
5.脳梗塞について

(1)脳梗塞とは
 脳の神経細胞は、酸素とブドウ糖のみを栄養として日々休みなく活動しています。何らかの原因で血管が詰まってしまって、脳の神経細胞に酸素やブドウ糖の供給が停止すると、脳の神経細胞は死んでしまいます。この神経細胞が手足を動かす働きをしていれば、手足の動きが悪くなり、いわゆる麻痺と言う状態になります。
 血管の詰まり方によって大きく血栓症と塞栓症に分けられます。
血栓症;脳の血管に徐々に動脈硬化が進行して血管の内腔が細くなり、そこに血栓が形成されて血管が詰まるものです。
塞栓症;全身のどこかでできた血の塊(塞栓)が、血流で運ばれ脳の血管を閉塞するものです。多くは、心臓病や不整脈が原因となります。

(2)脳梗塞の症状
 障害を受ける神経細胞によって、以下のような症状が単独であるいは複数出現します。

  • 手足がしびれる
  • 顔がしびれる
  • 手の力が抜け、物を持ったり、つかんだりできなくなる
  • 歩行時に足を引きずる
  • ものにつまずきやすい
  • フラフラしてまっすぐに歩けない
  • 片方の目にカーテンがかかったように、一時的にものが見えなくなる
  • 急にめまいがするようになった
  • ものが二重に見える
  • 視野が欠ける
  • うまく、言葉をしゃべれなくなる
  • 言葉が出てこない、理解できない
  • 食べ物が飲み込みにくく、むせてしまう
  • 意識がなくなる

 上記のような症状がいったん出現するけれども、多くは15分以内に遅くとも24時間以内に消失する事があり、TIA(一過性脳虚血発作)と呼ばれます。症状が改善したからと言って安心はできません。大きな脳梗塞の前兆、前触れ発作であるからです。従ってこのような症状が出現したときは、直ちに脳神経外科を受診する事が必要です。

(3)脳梗塞の種類
I ラクナ梗塞
脳内の直径1mm以下の細い血管が詰まると小さな脳梗塞を起こします。これがラクナ梗塞です。サイズが小さいので、生命的な危険はありませんが、脳梗塞を起す場所が悪いと、麻痺などの後遺症を残す事も少なくありません。
また、発作を繰り返すと痴呆やパーキンソン症候群の原因になります。比較的高齢者で、高血圧の既往のある方に多いタイプです。

ラクナ梗塞のMRI
脳の深いところに小さな脳梗塞を認める(矢印)。
ラクナ梗塞のMRI写真

II アテローム血栓性脳梗塞
頚部の内頚動脈や頭蓋内の主幹動脈など、太い血管の壁にコレステロールが溜まって内腔が細くなり、そこに血栓が形成され、動脈の狭窄・閉塞を起こします。多くは高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病が原因となります。

アテローム血栓性脳梗塞のMRI
脳表面に比較的大きな脳梗塞を認める(矢印)。
アテローム血栓性脳梗塞のMRI写真

III 心原性脳塞栓症  心房細動 (不整脈の一種) や弁膜症など心臓に病気があり、心臓内でできた血栓 (血のかたまり) が血流により脳の動脈に流れ込んで、これを詰まらせるものです。心原性 とは、心臓の中でできた血のかたまりが原因となるという意味です。ほかのタイプの脳梗塞に比べて突然に発症し、梗塞の範囲が大きく重症例が多いのが特徴です。

心原性脳塞栓症のMRI
脳表面に大きな脳梗塞を認める(赤楕円)。
心原性脳塞栓症のMRI写真
6.脳卒中の予防について

脳卒中の危険因子(病気が起こりやすくなるリスク)を、きちんと治療する事が大切です。生活習慣病といわれる、高血圧、高脂血症、糖尿病などの治療や管理をきちんとする事が発症を予防します。また、食生活の管理や適度な運動、禁煙など生活習慣の改善も重要です。
日本脳卒中協会は2003年に脳卒中予防のための十か条を作り、脳卒中予防のポイントを一般の方々に分かりやすく伝えていますので引用致します。

  1. 手始めに 高血圧から 治しましょう
  2. 糖尿病 放っておいたら 悔い残る
  3. 不整脈 見つかり次第 すぐ受診
  4. 予防には タバコを止める 意志を持て
  5. アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
  6. 高すぎる コレステロールも 見逃すな
  7. お食事の 塩分・脂肪 控えめに
  8. 体力に 合った運動 続けよう
  9. 万病の 引き金になる 太りすぎ
  10. 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ

頭痛

風邪をひいて頭が痛い、二日酔いで頭が痛いなど、頭痛は私たちにとってとてもありふれた症状です。頭痛を経験したことのない人はまずいないでしょう。しかし、頭痛は大きな病気の前触れであったり、また、ある種の頭痛は我々の日常生活に大きな支障をもたらす事があり注意が必要です。
頭痛は大きく分けて、「症候性頭痛」と「機能性頭痛」に分ける事ができます。前者は悪性の頭痛で直ぐに治療が必要な頭痛、後者は良性の頭痛で生命の危険は無いものの頭痛により生活に支障が出る頭痛と言い換えることができます。

「症候性頭痛」

MRI検査などで頭痛の原因が明らかなものです。脳腫瘍、脳出血、くも膜下出血、慢性硬膜血腫、脳卒中などが原因となります。放置しておくと生命に危険がある頭痛で、速やかに治療が必要です。

「機能性頭痛」

MRI検査などで頭蓋内にはっきりとした異常が見つからない頭痛で、慢性の頭痛はほとんどこのタイプです。

緊張性頭痛
ギューッと頭を締め付けられるような重苦しい痛みが、ダラダラと続きます。肩こりや首の痛みをともなう事が多く、肩・首の筋肉や神経の緊張が原因で起こります。姿勢の悪さやストレスも原因となります。日本人にはもっとも頻度の高いものです。
姿勢を良くしたり、頭痛体操や物理療法などのリハビリテーション、ストレスの解消が有効です。薬物療法としては、抗不安薬や筋弛緩剤の投薬治療を行います。
片頭痛
慢性頭痛の中でも、日常生活への影響が大きい頭痛です。片側(時に両側)のこめかみの血管がズキンズキンと脈打つように痛み、体を動かすと痛みが悪化します。ひどくなると、吐き気がしたり、実際に吐いたりする頭痛です。2040代の女性に多い頭痛です。以下のような特徴があります。
  1. 頻度は月に1〜4回程度。起こり方は発作的で、いったん頭痛が起こると、4時間から3日位持続します。
  2. 片側のこめかみから眼のあたりが、ズキンズキンと脈を打つように痛みます。
  3. 仕事や家事などに支障があり、ひどいときには寝込んでしまう事があります。
  4. 人によっては前触れ発作が起こることがあります。頭痛が始まる前に、視野にチカチカした光が現れる(閃輝暗点と言います)ことがあります。その他、予兆として肩こり、空腹感、あくびなどが起こる方がいます。
  5. ひどくなると吐き気や嘔吐を伴います。片頭痛の最中は光や音などに過敏になり、光がまぶしくて仕方がなくなり、周りの音や声ががんがんと頭に響きます。

現在、片頭痛の治療には、発作時の頓服療法や予防療法があります。頓服療法としては「トリプタン製剤」が極めて有効です。

群発頭痛
片頭痛と比較して男性に多い頭痛です。年に0.5〜2回程度、1〜2ヶ月程度、頭痛発作が毎日の様に持続します。目をえぐられるような強烈で激しい頭痛で、痛くてじっとしていられなくなります。吐き気が起こることはまれです。同時に、目の充血や、涙・鼻水が出るなどの自律神経症状を伴うことがあります。

以上のように頭痛の原因は多くあり、時に恐ろしい病気の前兆である事もあります。また、すべての頭痛がお話の内容のみにて診断がつくわけではありません。まずは、MRIなどの画像診断を行い、症候性頭痛の原因がないかを見極めて治療を進めることが大切です。

認知症について

認知症とは一度は正常に発達した知能が後天的原因により持続的に低下した状態と定義されます。
年をとると物覚えが悪くなるのは、生理的な老化で病気ではありません。「顔が思い出されるけど名前が出てこない」、「物の名前がすっと出てこない」このようなことは、中年以降になるとどなたでも経験する事です。このような物忘れではまず日常生活に支障を来たす事はありません。しかし、なかには、「食事を食べた後でもすぐに、ご飯はまだですか?」と言ったり、家に帰る道が分からなくなるなど、日常生活に支障が出る事があります。このような場合には、認知症が考えられます。

生理的老化による物忘れ
  • 自分の体験した出来事を思い出せない事はあっても、体験そのものを忘れる事はない。
  • 人の名前、ものの名前などとっさに思い出せない事はあっても、後になり思い出す事ができる。
  • 人・場所・時間に関して、ほぼ正しく認識している。
  • 物忘れを自覚している。
  • 日常生活での支障はない。
認知症による物忘れ
  • 進行性に悪化する。
  • 自分の体験した出来事の一部を忘れるのではなく、体験全体を忘れてしまう。
  • 人・場所・時間に関して、正しく認識できなくなる(見当識障害)。
  • 物忘れの自覚に乏しい。
  • 日常生活に支障を来たす事がある。

また、認知症の中には、いわゆる「治る認知症」があります。慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、急性薬物中毒、うつ病、甲状腺機能低下症、ビタミンB2、B12欠乏症などです。急速に認知症が進行する場合には、このような病気が背後に隠されている事があるので注意が必要です。
MRI検査や血液検査を行う事によって、「治る認知症」がないかどうか、確認する事が大切です。

一般的に認知症の原因は、.▲襯張魯ぅ沺蕊臓↓脳血管障害による認知症、その他の認知症に大別する事が大切できます。以前は、脳血管障害による認知症が多かったのですが、最近ではアルツハイマー病が増えてきました。

認知症の二大原因
<アルツハイマー病>

主として初老期以降に発症し、大脳の神経細胞が変性・死滅してゆき、慢性進行性に大脳の萎縮(特に側頭葉、頭頂葉、海馬など)と認知症が起こる病気です。

症状としては
記憶障害
新しい事実や出来事を記憶することが出来なくなります。古い出来事より新しい出来事の記憶が先に障害され、「体で覚えている記憶」である手続き記憶は比較的後期まで保たれるのが特徴です。
視空間の認知障害
立方体などの図形の模写ができなくなります。
見当識障害
人・場所・時間に関して、正しく認識できなくなります。例えば、正確な日時の把握や年齢が分からなくなります。

治療としては、根本的な治療法はありません。しかし、アルツハイマー病の人の脳では、アセチルコリンと言う神経伝達物質が大幅に減っている事が分かってきました。そこで、現在ではこのアセチルコリンを増やす薬が使われており、病気の進行を遅らせる事が可能になっています。

正常な人の脳MRI画像 アルツハイマー病患者さんの脳MRI画像

図の左は正常人の右はアルツハイマー病患者さんの脳のMRI画像です。脳の萎縮があり、矢印で示すようにアルツハイマー病の患者さんでは海馬の萎縮が著明です。

<脳血管性認知症>

脳に脳梗塞や脳出血が起こると、部分的に脳の機能が低下して認知症を起す事があります。長年の高血圧を基盤にラクナ梗塞と呼ばれる小さな多発性脳梗塞が原因となる事が多いことが分かっています。
物忘れは目立ちますが、理解力や判断力は比較的保たれており、「まだらぼけ」と言う症状の偏りが見られるのが特徴です。また、感情の起伏が激しくなったり、尿失禁が起こることもあります。

最後に物忘れの予防法をあげておきます。
  • 高血圧、糖尿病、高脂血症などの治療はきちっと受ける。
  • 適度な運動をする。
  • 趣味を持ち、人との会話を楽しむ。
  • 野菜、果物、食物繊維を多くとる。
  • 肉より魚を中心にとる。
  • 生活を楽しく、夫婦仲良く。
  • 短時間の昼寝を心がける。
  • 酒は、ワインにする?
  • タバコは吸わない。
  • もの忘れの心配な方は、早期にもの忘れ外来を受診する。